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2005年03月29日(火)

札束で叩く。

この日記ではお馴染みの、職場の青年Mちゃんが、
まもなく会社を辞める。
なんでも会計士を目指して勉強していて、
会社を辞めたら本腰を入れて挑戦すると言う。
数字に強い彼らしい。

そんなMちゃんの手元には、昨日、積立金が返金された。
毎月数万円を、切り詰め切り詰め積み立てていた彼の手には札束…。
「おお〜」
つい拝んでしまったワタシに、彼はニヤリと笑う。
「俺さ、いっぺんやってみたかったんだよね」
コレコレ♪、と、彼は札束で自分の頬を叩くマネをした。
「札ビンタですねっ」
「そうです」
思わず、二人して敬語になっていたり。
「普通ありえねーじゃん」
そりゃそうです。普通の人は、一生、そんなことはせずに暮らして行くのです。
いいのか悪いのか、わかりませんが。
銀行はもうしまっていて、入金も出来ないので、
「今日はこのまま抱きしめて寝るよ」
と、これまたありえない夜をすごすことになったMちゃん。
「気をつけて帰ってね」
「間違えても落とさないでよ〜」
札束を手に、いえ、腹に、彼は帰っていったのでした。

そして、今日。
「お金、無事だった?」
聞いてみたところ、やっぱり彼は、アパートで一人、札束で遊んだという。
「こんな感じでね、ピタピタと」
「自分で自分を札ビンタかいっ」
「はははは」
「こう、パァーッと撒いたりしなかったの?」
「それはしなかった。だって、集めたら一枚足りなかったなんて、笑えないし」
「確かにね、笑えない」
ところが、実はもっと笑えない状況だったと彼は告白した。
疲れて帰った彼は、札束で遊びながらウトウトしてしまい、
本人はなんとかベッドに入って寝たのだが、
起きたらお金がなかったらしい。
「ええっ?」
「ベッドの下に落ちててさ。焦ったよ、はははは」
…それは、笑い事なのか、君。

彼は会計士になるらしいが。
お金の取り扱いには、くれぐれも気をつけてほしいと、
ワタシは心底から思う。





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