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「 死の大地の上に、ちょこんと立っている 」
2020年12月01日(火)


 たべのこしたカップラーメンの、ねばねばと茶色い汁

 うっかり、手帳を落として、洗い流せない でも仕方なく使っているような部屋

 そんな部屋が、私の青春時代のイメージ

 ねばねば 茶色 仕方なく 部屋の中 なにもできない

 そんなイメージが、私の青春

 人間関係も、金銭感覚も、社会への気持ちも同じだった

 
 安定しているのが現在

 分析をし、対策を考え、自分を律しようとし、安定へと向かう

 経験が分析を生むのかどうかは判らないけれど、
 物事を分析する癖が、フライパンから取れない焦げ付きのように、
 心にへばりついている

 青春時代のねばねばの原因を こんな風に分析するほどに へばりついている

 
 肉体はご先祖様、英霊、あらゆる世の中の物事のつながりの中で生じてきたもの、私の心が生じさせたものではない

 そういう分析はできている

 けれども、この肉体が無くなること

 つまり、死ぬことが恐くて、怖くて、こわくて 

 こわくて めがさめる

 ドッ ドッ ドッ と大きな音を心臓が跳ね飛び上がって 目が覚める

 分析の癖はこびりついた

 でも、死ぬことが こわい 
 
 こわくて 仕方がない


 青春の茶色の、その仕方がなさ と同じ

 どうしようもない くるしくて どこにもいけない

 分析など何もきかない
 
 家族に、輩(ともがら)に、他人に、世の全てに感謝する

 分析して、その結果、感謝する

 合理的判断で本能を捻じ曲げて安定へと向かわせようとする

 けれども、その奥こそには 

 けれども、青春時代を思い出す老人の心の奥底には

 死へのこわさ が大地のように横たわっている

 その上に、ちょこんと小さく立っているだけ


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