僕は飛行機で青空にいったんだ。
南の島だった。
暑くてやしの木があって、日差しがギラギラの島。
人の肌が黒くて家がぼろっちい。
ワクワクした。こんなに遠くに来たんだ〜!!って思ったらワクワクしすぎて眠れなかった。
朝起きたらボーっとしちゃって、記念館みたいなところに行くっていってたのに、パスして部屋で寝てた。
普通のパンの朝ごはんでびっくりしなかったけど、ベットで横になると白い天井と扇風機みたいなのが回ってて外国だってわかった。
真っ黒なヤモリが天井にいたので、びっくりしたけど楽しくなった。
ずーっと見てたけど楽しいことばっかりで、寝不足ぶー!
色々いったけど一番覚えているのは、おとーさんのひげが格好よかったこと。
ボートにのってやしの木と白い砂浜だけの島に行った時、おとーさんが黒い人と話してたんだ。
堂々としてたし、色々指示したり仲良く笑いあったりしてた。
その時に動くひげがめちゃめちゃ格好良かった。
格好よすぎて恥ずかしくなったから砂浜の方へかけだした。
後ろから「あんまり遠くへ行くなよ〜」ってとーさんの声が追いかけてきた。
ピヤッといくと、泥臭い大きな塊がいた。
よく見るとザリガニの王様みたいなやつでウニョウニョ動いてた。
はさみがあったり泥臭かったりとかで、でももっと大きくて王様。
いつもは釣り糸とするめでつるんだけど両方ないから周りを見渡した。
俺もおとーさんみたいに格好よくなろー!!って思ったので、石と草しかなかったので、石を投げつけた。
1回目は外れたけど王様は逃げ出さなかったので、ダッシュで石を取りにいった。
「えい!えい!!」っと投げていると当たった〜〜!!
はさみがとれていて、そっから液がドロッと白い砂浜に。
近寄ってジーっと観察したら、またはさみをカチカチしてきたので石を、ピュー…ドン。
またまた命中で、息の根を止めようと結構グチャグチャになるまで投げた。
もう、動かなくなってたので、おとーさんを呼びにいった。
来たら観てくれて、ちょっと考えてから大笑いした。つられて俺も笑った。イェーイ!! めっちゃ嬉しかった♪
「よくやった。でも、気をつけろよ。」と言ってくれた。
横についてきた黒い人がボソボソよく分からない言葉でいっていたのを聴いた後に、もう1言。
「はさみが強力だから指もとられちゃうくらい。だから気をつけなさい。なるべく止めなさい。」とニコニコしてボートの方へ戻っていった。
黒い人はおとーさんに色々言っていたけど(笑)
おとーさんはやっぱり格好いい! 最高だ!
「あ、煮たら旨いそうだ」と後ろ向きの背中から追ってきた。
おかーさんがいたら絶対言うんだ「危ないから止めなさい。あなたからもいってよ」としわくちゃの顔をする。
いっつも美人で自慢って密かに思ってるのに、こういう時はブスになる。
おとーさんもブスになるといっつも困ったような顔をする。
だから、おかーさんがいなくて嬉しいぃ!!!
僕は「そっかーぜってーとったる!」って思って王様を探し出した。
砂浜の上にはいなかったので、やしの木の下のジャングルへ。
草は裸足だったので嫌だったけど、「俺はやったるぞー!」って思って。
見つけた! さっきより小さい奴だ。
今度は、はさみだけに狙いを定めてピュー!!
ピュー! ピューー!! ピュピューー!!!
頭蓋骨にも当たっちゃったけど、はさみはとれたので、尻尾のふくらみを持っておとーさんの方へかけ出した。
黒い人も今度は笑ってくれて、水を沸かす準備をして煮てくれた。
やっぱりザリガニくんと同じで煮ると赤くなった。
すっげーきれいな赤色だ。絵の具の赤よりずーっときれい。
キャンパスにぬる時に使いたいな〜って思った。
殻とか押し付けたら色がつくのかな??
大きかったけど、赤色もザリガニより全然ひきつけられた。
けど、ザリガニくんは王様のくせに美味しくなかった、全然。
何だか油っぽくてギラギラしてて、いつも疲れてるサラリーマンのはげ頭みたいだった。
そんなんで、僕は飛行機で青空にいったんだ。
ざりがにくんは、ヤシガニってのを俺は後から知った。
執筆者:藤崎 道雪 (校正H15.9.4 )