きよこの日記

2002年07月04日(木) 平野啓一郎『一月物語』

最近まったく宵っぱり。
午前3時まで眠れない。
布団の中に入っても、ずっとずっと眠れない。
そして、夜更かしの翌日は当然朝寝坊。
だめ人間一直線です。

何とかして、早寝早起きを、というわけで、
今夜は12時には布団の中。
おともは平野啓一郎の『一月物語』
「平野啓一郎のかたーい表現を読めば、自然に眠気もやってくるだろう」
との、思惑だったのですが、これが面白くって!
寝るどころか、どんどん目がさえてしまって、
しおりをさしはさむことができず、
とうとう最後まで一気に読まされてしまいました。

うーん。平野啓一郎おそるべし。
前作『日蝕』を読んだ時は「現代の三島由紀夫だ!」
と思ったんだけど、この作品を読んで、「むしろ芥川竜之介か」
という気持ちに。
時代設定も、話も全然違うんだけど、
『薮の中』を読んでいるような錯覚にとらわれました。

神経衰弱の療養のため、一人あてのない旅にでた、明治の書生、井原真拆。
奈良県往仙岳の山中で、どこからか道に迷いこみ、脛を毒蛇にかまれて気を失い、
目を覚ましたそこは、年老いた僧のむすんだ小さな庵だった。
庵で傷の癒えるのを待つうちに、奇妙なことに気づいた。
毎日まったく同じように見るある女の夢。
時折襲い来る、自分がいまだに毒蛇にかまれて、山中で行き倒れたままでいるという、生々しい幻影。
そして、僧の言葉、
「この庵で何をして過ごしてもいいが、一つだけ、
禅堂の奥にある小屋にだけは絶対に近寄ったり、覗いたりしないでください」

「なんなの?一体どうなってるの?
すっごく気になる!!」
先を知りたい、という一心でページをめくっていき、
謎が飽和状態になったとき、旅館の女将の昔語り、
というこれ以上に無いほどうってつけな形で
謎はすべて明らかになっていくのです。

その文体のいかつさから、平野啓一郎は大衆から受け入れられないけど、
ほんとに単純にこの作品は楽しめると思うのになあ。

読了3時15分。
やっぱりこんな時間になっちゃった。くすん。


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