絶対泣かないって決めていた。 いつも通りに過ごして、静かに去っていかなきゃ、 って思ってたから。
病気の先生が復帰されて、私はお役御免。 とても喜ばしいことだもん。
中一の授業、スピーチ大会の原稿をそれぞれが書いていた。 やんちゃなOくん、すぐに飽きちゃって、いつものように隣にちょっかいかけだした。 「おやおやまあ」 と思いながら、もうちょっとしたら注意しようと思っていたら、 「おい、O。 今日は先生の最後の授業なんだぞ。 ちゃんとしろよ」 って、がき大将のMくんが、コソッとOくんに言った。
そんなちょっとした一言だったけど、 すでに、もう、半泣き・…。
帰りの学活のはじめに、みんなで、毎日合唱するんだけど、 「もう、こうやって歌うのも最後だなあ」 なんて思ったら、 「We are the World」のリフレインは、涙がまた、あふれそうになっちゃったんだけど、 生徒には絶対わかんないように、普通の顔をして…。
でも、最後の全校生徒を前にしての、お別れのあいさつでは、今までの、楽しかったこと思い出しちゃって、泣いてしまった…。
「もう、一緒に学校生活送れないんだね」 バイト気分で始めたのに、やめたくないよ。 明日も、また、いつも通り、「おはよう」って学校生活を始めたいよ。
でも、私のこの気持ちって、教師としてのものじゃないのかもなあ。 自分が中学生に戻った気になって、一緒に中学生やっている気分に近いんだと思う。
前の学校を辞めた時も、やっぱり、号泣だったんだけど、その涙の理由は、 「やり遂げた!」 っていう、達成感がほとんどの、嬉し涙だった。 生徒の成長を見届けて、もう、大丈夫って、思えたから、嬉しかった。 でも、今回の涙は、 「まだ、この学校を離れたくない。 みんなと離れたくない」 っていう涙。 転校してく、生徒の気持ち。
ちょっと、教師としては、なってないぞ。
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