きよこの日記

2002年03月03日(日) 昭和的家族像

私の理想の家族像の一つの形が、向田邦子の描く作品の中にある。
頑固一徹、昔気質で不器用だが、何よりも家族のことを大事に思っている父親。
文句一つ言わず、夫の三歩後ろを黙ってついていく、働き者でしっかりものの母親。
できはいまいち、おてんばでやんちゃだが、気持ちが優しい子供たち。
貧しいけれど温かい。ものはなくてもつながっていた(らしい)昭和の家族像が私はとても好き。

こんな私はきっと家族コンプレックスだと思う。
徹底的に家族に反抗しまくって、家族から自立しようとしてきたけど、それは、家族に対するあこがれの反作用なんだと思う。

だから、私は向田邦子の小説や随筆を読むとき、ちょうど小さな子どもが、白雪姫やシンデレラの物語を読むときのような淡い憧憬を抱き、夢見るような気持ちでページをめくっている。

でも、もちろん、そんな家族に屈折した思いを抱いた人じゃなくても、向田邦子はとてもお勧め。
まず、「眠り人形」とか、短編集を読んで、「向田邦子好きかも!」 と思った人にお勧めなシリーズ。

『父の詫び状』 『かけがえのない贈り物』

前者は家族との思い出をふりかえった随筆。
そして、この作品は向田邦子が大病と戦いながら飛行機事故の直前に書き上げたもの。
後者は実は、筆者は向田邦子の妹、和子さん。
向田邦子のたっての願いでつくられた料理屋「ままや」の開店を姉と家族の思い出を絡めて著している。

この2冊、向田邦子の大病、「ままや」にいたる顛末、姉の事故死について、姉妹そして、家族の思いが記されていて、向田家の絆の強さがひしひしと伝わってきて、たまらなかった。

「ままや」今も和子さんが守り続けていると言う。
いつか行ってみたいな。


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