とくに何もないこんな日は、人にしゃべらずにはいられない!というくらい面白かった本について書きましょう。
それは『センセイの鞄』川上弘美著
「むしょーに恋愛もの読みてー!」 「恋愛もの読んであったかい気持ちにひたりてー!」 というさもしい気持ちになったときにぴったりです。 ・・・・私がさもしい気持ちになってこの本を手に取ったかどうかはまた別の話ですよ。
わりと淡々と物語は始まります。 読みはじめてすぐに、「高校時代のセンセイと再会して、好きになっちゃう話」と、見当がつくので、こちらも淡々と、読んでいきます。 淡々とした、大人の女性なんです。仕事帰りに行き付けの居酒屋で静かに一杯ひっかけちゃうような。 そして、センセイとはその居酒屋でときおり一緒になったときには少し話す。そんな関係です。
それがどうしちゃったんでしょうねえ。 だんだんと、センセイと会いたい、約束したい気持ちが表れてきて、それまではぜんぜん平気だった「ひとり」に違和感が・・・。
うーん、たまりませんな。 どれくらいたまらないかというと、最後の一ページを読み終えて、ぎゅっと本を抱きしめちゃうくらい。 残り10ページぐらいでだいたいエンディングが見えてくるんだけど、「そんなことないよね」「そうでありませんように」でぐいぐいひっぱられて、ラスト一ページの急展開で号泣。
いやあ、けっこうなお手前でございました。
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