2018年12月20日(木) |
地球星人 村田沙耶香 |
村田沙耶香 新潮社 2018
STORY: 幼い頃から自分は魔法少女だと信じ込んでいた奈月。家族からの虐待や塾講師からの猥褻行為により現実逃避するしかなかった奈月は、とんでもない事件を起こしてしまい…。
感想: 「コンビニ人間」も面白く読んだが、この「地球星人」もぐいぐいとひきつけられるものがあって、読む手を止めることができなかった。
しかし、「コンビニ人間」よりもさらに異質な世界観を描いており、最終盤の描写は結構私的にはきついものが…。
最初のうちは奈月に共感できるところもあるのだが、最後の部分でついて行けなくなるというのかな…。
それと、奈月や奈月の家族、結婚相手の智臣や智臣の家族、そして、いとこの由宇の家族、さらに周りの人たちが結構極端なんじゃないかとも思う。地球星人は工場で生殖していかなくてはならないという考え方もいまだにあるかもしれないけれど、少なくとも自分の周りではここまであからさまに干渉してくるような家は少ないような気がする。
結婚して、性行(彼らに言わせると「仲良し」と言うらしいが)がなければ、それは夫婦と言わない。夫婦は性行をして子供を持つことが幸せであるという考え方も、もちろん今も根強くあるところもあるのだろうが、だいぶ寛容な世の中になっていないだろうか?
そして、夫婦のそういったことには、周りはやきもきしていろいろ聞いたりはするかもしれないけれど、それはおかしいとか否定してもどうしようもないんじゃないかなぁ…とも思うのであった。
いろんな夫婦の形があってしかるべきと思うし、そういう考え方も広まっている気がするので、ここまで極端に行くのも珍しいのかもしれないなとも思った。
少なくとも自分は、結婚してもしなくても、子供を産んでも産まなくても、その人の生き方がその人らしく幸せならばそれでいいんじゃないかと思うので…。
それにしても、最後は、食料がなくて飢えてしまい、死にかかっているということなのか…。確かにアフリカの飢えに苦しむ子供たちがお腹が膨らんで骨と皮ばかりになっているようなのを見たような気もするのだが…。
うーん…。やっぱり最後は厳しいな…。
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