2018年11月16日(金) |
院内カフェ 中島たい子 |
中島たい子 朝日文庫 2018
STORY: 総合病院に併設するカフェで週末だけバイトする小説家の亮子は、夫との不妊に悩んでいる。カフェには様々な個性的な人々がやって来て…。
感想: 私は接客業をやったことがないし、この先もやれるとは思わないので、カフェなどで働くことはないと思うのだが、こういう仕事をできる人ってすごいと思う。そして、それが病院のカフェとなると、普通の店とはまた少し違った様々な人々がいるのかもしれない…。
総合病院だけあって、医療関係者の人も来れば、入院患者が点滴をぶら下げて来ることもある。お見舞いの人もいれば、通院中の人もいる。
そんな変わった常連さんたちにちょっとした愛称をつけつつも、やはり同じ時間帯に毎週やって来る人のことは覚えるし、気になるものなんだろうなーと思う。
バイト中にやって来た一組の夫婦・朝子と孝昭。夫のほうが入院するらしく、二人でカフェにやって来たが、何か言い争いになって、朝子が孝昭にソイラテをぶちまける場面に亮子は遭遇する。
私もこんな場面に遭遇したら固まってしまうかもしれないのだが、同じくバイトの村上は、接客業が長いらしく、何事もなかったかのような対処をする。
朝子と孝昭の夫婦は、夫が潰瘍性大腸炎にかかり、夫婦の仲がすれ違っている。カフェで出会う人々を通じて、二人はお互いに自分の気持ちに向き合うことになる。
亮子が「ゲジデント」と名付けた医師は、3分診療しかしない主義なのだが、それがアメリカでの体験に基づいており、3分で無駄がないわかりやすい診療をするというのをモットーとしているらしい。
3分で何がわかるんだ?と医者が機械的に作業をしているような気持ちで診療が短いのもどうなんだろう?って思う自分がいたんだけど、こういうスタンスの下でやっている医者もいるんだと気付いた。
総合病院ともなると、待ち時間も長いし、あっさりと要所要所を押さえながら診察を終えてくれる医者も実はいいのかなーと考え直したりした。
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