感想メモ

2018年06月15日(金) ざわつく女心は上の空  こかじさら


こかじさら 双葉社 2017

STORY:
ただの主婦だったはずの榎本さわこが、あれよあれよという間に大人気料理研究家になり、変化していく。その様子に周りの人たちの心はざわつき…。

感想:
 ただの主婦だったはずの榎本佐和子は、小学生の娘と息子が成長してきたことから、フードコーディネーターの青柳美香子のもとで下働きのバイトを始める。

 ところが、敏腕雑誌編集者の山上から、雑誌のページに掲載する料理を作ってくれと頼まれ、1回だけのつもりが人気が出てしまったことから、人気料理研究家・榎本さわこへと変身していく。

 同じマンションの住人・水戸智恵子一家とも家族ぐるみで付き合っていたが、自由ヶ丘のキッチンスタジオ付きの豪邸に引っ越してしまう。榎本さわこのもとには、追っかけのようなファンが集まり、1回3万円もする料理教室はすぐにいっぱいになってしまうほど。

 しかし、家族の心はどんどん離れ、「家族の喜ぶ顔を見るのが幸せ」と言っているのに、夫は単身赴任の上、不倫、子供たちもそれぞれ遠くの学校に行ってしまい、榎本さわこは孤独に幸せな主婦を演じ続けているのだった…。

 それぞれの人々から見た榎本佐和子を描くとともに、最後は榎本佐和子本人の視点からの作品も。

 人はちやほやされて持ち上げられて、自分の根っこをすっかり忘れてしまうことがある。もっと地に足をつけて、身近な幸せに目を向けて生きていくほうがいいんだろうになーと思ってしまった。

 それぞれの視点から見ると、同じ出来事もまた別の印象があり、なるほど、そういう考えもあるね…と思わされる部分もあった。

 なかなか面白く読むことができた。


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