2017年11月08日(水) |
青空に飛ぶ 鴻上尚史 |
鴻上尚史 講談社 2017
STORY: アメリカの中学校から転校した友人は壮絶ないじめを受けていた。死に場所を求めて札幌のおばの家に行ったとき、元特攻隊で9回特攻して帰ってきた佐々木友次がおばの病院に入院しているということを知り…。
感想: いじめのシーンが壮絶すぎて、かなり暗澹たる気分になった。ここまでのことをして、それも前に一人犠牲者が出ているのに、本当に学校は何もせず、クラスの子も何もせず…になってしまうものなのだろうか?
また、こうしたいじめ方は最近の主流なのだろうか?
明らかに様子がおかしくなっていく友人のことを父も母もおかしく思わなかったのだろうか?
自分にも子供がおり、子供がこのような目にあったらどうしたらいいんだ?とついつい思ってしまう。
友人は「特攻隊ゲーム」というものをいじめでやらされていて、おばの家で実際に特攻隊にいて9回も戻ってきたという佐々木友次がおばの病院に入院しているのを知り、興味を持つ。
特攻隊と佐々木友次のことが書いてある「陸軍特別特攻隊」という本を古本屋で探し出し、それを読み続ける。読みながらも、死に場所を求めたりもするが、死ぬことはできないでいた。
そして、実際に入院先の本人を訪ねて、自分の疑問を聞く。
友次は「人間の生き死には自分で決めるものではなく、寿命が来るまで生きるのが人間なのだ」というようなことを友人に告げる。
友人は両親がどんな反応をするかと思うと、怖くて自分からはいじめられていることを言い出せない。
友次の言葉を聞いたりしたのだから、自分で動いたらどうなのかな?とは思った。
LINEなんかもいじめの証拠になりうるわけだし、もう少し自分でいじめっ子に対してどうにか対応することを考えてほしかったような気もする。
結局いじめっ子たちがどうなったのかが明かされないまま、友人は新たな旅立ちをすることになったが、そこは唯一引っかかるところではある。
この間読んだ中山七里「秋山善吉工務店」もそうだったけれど、いじめの描写を読むのがつらい。こういう話はしばらく読みたくないかもしれない。
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