2017年03月03日(金) |
我ら荒野の七重奏(セプテット) 加納朋子 |
加納朋子 集英社 2016
STORY: バリバリの編集者として働く陽子の一人息子・陽介は、私立中学の吹奏楽の演奏を聞いて自分もやりたくなる。急遽中学受験をすることにしたが、不合格となり、公立中学の吹奏楽部に入ることになるが…。
感想: 「七人の敵がいる」の続編となるこの作品。前作も読んだのだけれど、内容を忘れている私。でも、覚えてなくても大丈夫。
「七人の敵がいる」は、陽介が小学校に入学し、PTA役員をしなくてはならなくなり、様々な問題と戦う…という話だった。
今回、陽介は中学に入学。もう親の出番はないだろうと思ったら、吹奏楽部に親の会があり、子供たちのために親がめちゃくちゃ奔走していて、それに振り回されるというお話なのである。
自分の息子もこの春から小学生になるのだが、中学校の部活にも親の協力が必要なのか〜、そして、親の仕事の何と多いこと!!とびっくりしてしまった。
でも、子供と自分が音楽をやっていて、教室のコンサートになると、やはり親の協力は不可欠で、親はなるべく子供の演奏を聞けるように配慮するとは言っても、オーケストラになってくると、やはり聞けない人も出てくるわけで…。(我が家の場合、私と子供がやっているため、父である夫がお手伝いに駆り出されている)
何か習ったり、部活に入ったりすれば、活躍する部だったり、演奏会や発表会がある部であれば、親の協力は不可欠なんだなー。
さて、私が最初に一番共感してしまったところは…陽介の中学受験だったりする。
もともと公立中学に行く予定だった陽介は、先輩の演奏に憧れてしまい、私立中学の受験をすることにするが、スタートが遅かった。それでもがんばって勉強をするが、志望校に合格することはできず、失意のまま、公立中学に入学。
さらに、吹奏楽部でのパートは、自分の希望していたトランペットにはなれず、ファゴットというマイナーな楽器にされてしまう…。
そのため、中学入学後の陽介は少し自信を喪失してしまい、失意の日々を送っている。
このくだりを読んで、やはり中学入試は失敗すると、子供の心に大きな傷を残すことがあるよなーと思ったのだった。
自分の子供が受験したいと言って来たらとか、色々考えてしまった。
でも、最後にはファゴットという楽器の魅力に陽介も落ちていき、将来の進路も決めていく姿が描かれていて、よかった。
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