感想メモ

2016年10月16日(日) はじめまして、愛しています。


 ある日、虐待を受けてさ迷い歩いていた子供が、ピアニストでピアノ教師の美奈(尾野真千子)のもとにふらりと現れる。

 子供を作って来なかった美奈の夫・信次(江口洋介)は、運命を感じ、施設に引き取られた男の子(横山歩)を養子にしたいと言い出す。

 最初は反対だった美奈だが、信次の強い意志を見て、男の子を特別養子縁組に迎え入れようと思う。

 児童相談所の堂本(余貴美子)に相談しながら、男の子をハジメと名付け、一緒に生活を始める2人だったが、試し行動が始まり、壮絶な日々を送る。

 そんな毎日を送りながらも、信頼を深め合った3人は、やがて本当の親子のように暮らすようになるが、その時、実母(志田未来)の母・月子(富田靖子)が現れ、ハジメは2人と無理やり引き離されてしまって…。

 美奈はピアニストとして大成するまでは子供を作らないと決めていた。父は有名な指揮者の及川真美(藤竜也)で、母は幼い頃に入水自殺。父は音楽だけを愛しており、母子を愛していないと苦悩している。

 信次は幼い頃に父と兄を交通事故で亡くし、そのショックから酒におぼれて今では施設に入所している母の代わりに父親代わりとして過ごしてきた。定職にもつかずにふらふらしている弟・巧(速水もこみち)、子育て中の妹・春代(坂井真紀)とは、お世辞にもうまく行っているとは言えない。

 そんな二人が他人の子とはいえ、子供を育てることにより、自分たちの家族のことにも目を向けて、関係を修復していく様子も描かれていて、素晴らしいと思った。

 正直、ピアノ教室の子供もうまく裁ききれずにトイレで叫んでストレスを解消する美奈の様子から、養子をとるのは無理なんじゃないか?と思ったのだが、それでも、何とかしようと子供と向き合う様子は応援したくなった。

 虐待を受けて、口もきけなかったハジメの成長ぶりも、少し出来すぎの嫌いはあるが、感動的で、やっと親子になったのに、法律の壁に阻められて、子供の意見も聞かずに引き離されるシーンでは、やりきれなさで悲しい思いにもなった。

 最後まであきらめずにハジメを養子にしようとする2人の姿もよかった。

 遊川和彦が脚本ということで、いい方に転ぶか、悪い方に転ぶかどっちかなのかな?とか思ったけれど、今の法律の問題なども描かれていて、とてもよい作品に仕上がっていたのではないかと思った。


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