STORY: 八王子で夫婦が惨殺される。その犯人を追う刑事2人。犯人に疑われそうな怪しい男が3人。一人は千葉の漁港で働き始めた男。一人はゲイの仲間と夜な夜な遊び歩く男のもとに現れた新しい恋人。そしてもう一人は沖縄の離島の無人島で野宿をする男。果たして犯人は?
感想: 読売新聞の連載小説。吉田修一の作品は初めて読んだ。(以下ちょっとネタバレがあり)
この話はミステリーなのかと最初思っていたのだが、そういうわけでもなかった。それよりも疑わしい男がいて、その男を信じたいのだけれど、信じられないという周りの人間の心の弱さとかを描いた作品だったのだろう。
でも、それがわかったのは物語の終盤で、私としては、なぜ殺人犯がそんな凶悪な事件を起こしたのかが、犯人逮捕によって明るみに出るとばかり思っていたので、そのような結論が出なくて、犯人を追い続けていた刑事もそのことが結局わからず…といった展開には、ちょっと物足りなさを感じてしまった。
千葉の漁港では、男にぼろぼろにされた愛子という娘を信じきれない親がいて、愛子も男にぼろぼろにされ続けてきたからか、やっぱり信じてあげられなくて…。でも、このあとでいい結果が出るといいな…。
そして、ゲイ仲間とつるんでいた男は、一緒に暮らし始めた直也(だったと思った)のことを疑ってしまい、警察から電話があったときに、「そんな男は知らない」と言ってしまい…。その後、真相がわかるのだが、悲しい…。何かこれからいいことが起こるといいな…。
そして、母の都合で沖縄の離島にやってきた泉と、同級生の男の子のもとに現れた野宿をする男…。いい人そうで、みんなを信用させる男が…。
犯人を追い続けていた刑事は最後に女に「女の過去を調べたが、それでもいいから一緒になろう」と嘘をつく。そして、女は出ていった…。
人は人をどこで信じ、どこで信じられないと思うのか、そして、信じていた人に裏切られたときに人はどのように行動するのか…。人は信じている人にでも知られたくない過去というものがあるもので、そのことを詮索すべきではないのか…。
多分そんなようなことを考えさせる作品だったのかなと思う。
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