西加奈子 小学館 2005
STORY: 逃げ出した父から年末に帰るという手紙をもらい、薫は母と妹の待つ故郷に帰ることにする。そこには小さな頃からかわいがってきた愛犬サクラが老犬となった姿があり・・・。
感想: テレビだったかで、とてもよいという話を聞き、読んでみようと思った本なのであるが、最初、非常に乗れず、読むのをやめようかとさえ思った。けれど、とりあえず読みすすめていくと、途中から過去の回想シーンが始まり、そこからは段々面白くなっていった。
最近の小説は、似たようなのが多いような気もする。これも主人公薫の兄の行く末がどうも引っかかるところがあった。
話としては、バラバラになった家族がもう一度やり直せるのではないかな・・・という、ちょっとほっとできる終わり方にはなっているので救いはある。
妹が兄のことを好きで、兄に対してしてしまったことなんかは、ちょっと驚いた。一つ一つのエピソードが本当に変わった人たちだなと思うのだけれど、時々確かにぐっと胸に来る場面もあったりして・・・。
でも、やっぱり最初の方がちょっとわかりにくく、面白さがそこで半減したような。もう少し最初の導入部を短くした方が、すぐに話に入っていけたような気も・・・。
それと『さくら』というタイトルなのに、なぜか犬の名前は「サクラ」。なんでタイトルをカタカナじゃなくてひらがなにしたんだろう? かなり疑問。
嫌いではないけれど、積極的に読みたいタイプの作品ではなかったかな。
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