筒井康隆 新潮文庫 (1978)1983
STORY: 大富豪の息子神戸大助がその資金力と頭脳で事件を次々に解決していく様を描く。1話完結計4話(富豪刑事の囮、密室の富豪刑事、富豪刑事のスティング、ホテルの富豪刑事)
感想: 現在放送中のドラマ『富豪刑事』を2話目から思わず見始めてしまい、ちょっとはまっていたりするので、その原作が読みたくなってしまった。そこで借りることにした。
この中の4話はすでにテレビで放映されていたものの原作だったので、まだ見ていない分を読むということにはならなくてよかったと思った。やはり原作とは時代も変わっているのもあると思うが、ドラマの方がかなりアレンジされているという感じだ。ドラマだと深田恭子にみんなやめてほしそうな感じだけれど、原作だと大助は結構頼りにされていたりするところも違う。
とにかく古いなぁというのが目立った。たとえば現在JRとなっているものが「国鉄」と書いてあったりするのだ。そして、登場人物の会話も現代ではないなーという感じがひしひしと感じられる。昭和53年に発表されているのだから仕方ないのだとは思う。
解説で、筒井康隆の文体について工夫を凝らされているということが述べられていたが、私はどうも素直にその意見にうなずけなかった。というのは、筒井康隆は場面転換の際に1行あけるというのをやっていなくて、場面が変わっているのにわかりにくいと思うところが多かったからである。これは昔の作家は1行あけるというのがなかったのかもしれないから、時代の関係なのかなと思っていたのだが、どうもわざとこうしたらしい。私は逆に読みにくいような気がするのだが・・・。
内容は現代でも通用するというのは確かで、なかなか面白いとは思った。ドラマの方が誇張されすぎているし、コミカルで警察がバカっぽく描かれているが、それはそれでまた楽しいし。
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