2005年01月26日(水) |
こころの耳 早瀬久美 |
早瀬久美 講談社 2004
生まれつき聴覚障害を持つ筆者が薬剤師の免状をもらうために努力した日々を綴る自伝。
この本は先日「徹子の部屋」に筆者が出ていて、黒柳さんが紹介していたために、読んでみたいと思って借りたもの。
聴覚障害や視覚障害を持つものにどうしてもなれない職業があった。それは欠格条項という昔ながらの法律があったからである。筆者は母が薬剤師をしていたことから、自分も薬剤師を目指すが、欠格条項があったために、国家試験に合格したものの資格を取ることができなかったのである。
それを動かしたのが署名運動など聴覚障害者の集まりの運動だった。昔あった欠格条項などは、現在ではかなりが廃止される方向に進んでいる。
読んでいて思ったのは、やはり時代とともに福祉は進んでいるということである。昔より絶対的に障害者が暮らしやすい世の中にはなってきているのであろう。多分当事者から見ればまだまだだと思うだろうけれど。
それから、こうした障害者の団体の活動が活発であるというのに驚いた。中学や高校生のときから集まりがあって、活動をしている人がいる。言ってみれば生徒会の人たちが全国から集まって…というようなノリのような気もするのだが、ここにはいまだに真面目な議論が残っている。もちろん一般の学生の中にもこうした固い活動に関わっている者もいまだにいるとは思うけれど、最近一般的に報道されているような、将来を危惧してしまうような学生たちが主流のような印象が強い。
また聴覚障害者が様々な職業についているということにもちょっと驚いた。今後もますますその傾向は強くなっていくだろう。
筆者の夫は聴覚障害者の子供たちのためのフリースクールを開いている。筆者もまたそれをボランティアとして支えているという。今後もこういう活動を是非続けていってほしいと思った。
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