2005年01月04日(火) |
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上)(下) J.K.ローリング |
J.K.ローリング 松岡佑子訳 静山社 (2003)2004
STORY: 15歳になるハリーはまたもやおじ夫婦の家で何も知らされないまま夏休みを過ごしていた。いとこのダドリーを助けるために魔法を使ったハリーは魔法省から法廷に立つように言われるが…。
感想: 『ハリー・ポッターシリーズ』第5作目。1巻目に比べると毎年のようにどんどん分厚くなっているが、今回は前巻にも増して分厚くなり、読むのも大変な分量であった。何より毎回思うのは持ち運ぶのが重すぎるということ。子供向け作品ならもう少し考えろといつも思うのだが…。足に落としたとしても大ダメージではないか。
作品については、毎回図書館で借りるために前巻までの内容をかなり忘れてしまっているのが厳しいところだ。特に前巻あたりから内容が複雑になり、登場人物も増えてきているのでなおさらそれを感じる。やはり本来はこの本は図書館で借りる本ではなく、自分で買って何度も繰り返し読むほうがよいのではないかと思う。
1巻のあたりでは「ふくろう通信」だったか…そんなような名前の新聞がついていて、ハリー・ポッターの世界や魔法のことなどを解説してあったが、この巻ではそういうものが一切なかった。(図書館で借りたからかもしれないが) 本当に本を売りたいと思うなら、もう少し親切に人物の関連図とか、登場人物の解説、前巻までのあらすじなどを絶対に載せたほうがいいような気がするのだが。
さて、5巻ではついにハリーも15歳。思春期の真っ只中で反抗期でもある。今までもかんしゃくもちなところはあったわけであるが、この巻ではさらにそれがひどくなっている。父親の遺伝ということも考えられるかのような描写だったが。私としてはハリーはもう少し思慮深く考えて行動してほしいような気もするし、段々ハリーに感情移入ができなくなってきている。
本の宣伝の広告では「泣けた」とかいうのが多くあったが、私はその該当部分もあっけない描写で終わったためもあったのか、全く泣けなかったし、その後のハリーの心情にもあまり同情的にもなれなかった。やはり1巻あたりのまだ小さい頃のハリーに対して思った感情とは全く異なってしまっている。自分の心境の変化なのか、それとも年月とともに作者が変わったのか…どちらなのであろうか。
それからやはり内容がどんどん厳しくなってきている。これは子供が読んで面白い話ではすでになくなってきているように思うのだ。陰謀というか、どろどろした内容であるし、どんどんハリーたちが追い詰められていっている。だから何だか暗くてこの先のことを考えるとますます気がめいってきてしまう。
この5巻は売り上げ自体も落ちてきているような噂も聞いたが、そろそろ挫折する人も多くなりそうな予感がする。せいぜい6巻は買い取り式じゃないようにしないと、本当につぶれる書店が出るかもしれない。とはいえ、ここまで読んだので絶対に7巻まで読もうとは思う私ではある。
この巻で活躍したのはネビルかもしれない。今まで劣等性だった彼はほとんどいじめられキャラであったが、芯が強いのだということが改めてわかる。もしかしたらこれから飛躍的に伸びるのかもしれない。
それから15歳にO.W.L(ふくろう)という試験がある。これは日本で言えば高校受験みたいなものに当たるかと思う。やはりどこの国にもこのあたりの年代でこういう試験のプレッシャーなどを体験するのだなーとその辺はちょっと面白かった。
それからウィーズリー家の双子のフレッドとジョージ。彼らの行く末も気になるし、優等生だったパーシーの反抗についても、今後どうなっていくのかが気になる。この点に関してはお母さんのショックについてすごくよくわかるような気がした。
次巻以降、ますます人が死にそうな予感がするこのシリーズ。できたらもうあまり人の死は望まないのだけれど、そうもいかないのだろうなあ…。
★前作第4巻は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 →その感想ページ →その感想ページ ★第3巻は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 →その感想ページ ★第2巻は『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 →その感想ページ ★第1巻は『ハリー・ポッターと賢者の石』 →その感想ページ
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