感想メモ

2004年07月11日(日) 世界の中心で、愛をさけぶ  片山恭一


片山恭一 小学館 2001

STORY:
朔太郎は交際中のアキを白血病で亡くし、空虚な日々を送っていたが・・・。

感想(ネタバレあり):
 ものすごいベストセラーで、映画化、ドラマ化などもされたこの作品。いったいどんなものかと思って本を読んでみることにした。元々大体のストーリーみたいなものは聞いていてちょっとバカらしいのかななんて思っていた。最初のほうを読んでいるときはやっぱりそうなのかな・・・なんて思ったのだが、読み進むうちに結構面白くなってきた。

 しかし、疑問がある。アキは確かに白血病で長くはなかったのかもしれないが、もしかして二人で抜け出そうなんて思わなければ、もう少し長く生きたのではないかと思う。あんな無茶をしなければ多分・・・。ただ、苦しみを長くするのもかわいそうという気もするし、でも、愛していればこそ、もっと長く生きてもらいたいとも思うような気もする。だから、この二人が無茶な逃避行をした後、アキの両親はどう思ったのだろうか?と思う。一人娘を亡くした悲しみもあるだろうに、オーストラリアに朔太郎と一緒に行ったのは両親が偉かったのかもしれないなーと、全然書かれていないことを思った。

 最後のシーンで、朔太郎のずいぶん後のことが書かれていて、そこを読んで救われる気がした。大切な人を亡くし空虚な気分になっても、やはり時は人間を癒してくれるのだなと。そして、前向きに生きる気になり、新たな恋をした朔太郎にエールを送りたくなった。


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