感想メモ

2004年01月07日(水) OUT  桐野夏生


桐野夏生 講談社文庫 2002

STORY:
深夜の弁当工場でパートとして重労働に耐える4人の女たち。弥生が夫を殺し、その死体を処理するのを雅子、ヨシエ、邦子の3人が手伝うことになって…。

感想:
 この作品は映画化もされている作品。映画のストーリーを見た限りでは、結構さばさばしてすかっとするような作品だと思っていたのだが、本だとそういう感じではなかった。最初から最後まで何だか圧迫されるような重苦しさみたいなのが付きまとっている感じで、あまり気持ちのいい描写じゃない部分も結構あって、正直読むのをやめようかとも思ったのだが、読み進めるうちに段々面白くなってのめりこむように読んでしまった。

 にしても、この作品が去年の読み納め、そして、今年の読み初めになってしまった…。面白かったけど、なんか年末年始にはあんまりふさわしくない作品だったかな…。

 これを読んで思ったのは、主婦になり、何の資格も技術も持っていないとパートをするのも厳しくて、なおかつ、時給も安くきつい労働しか残っていないのだということであった。そして、自分たちがいつも食べているコンビニの弁当とかも、こういう風に深夜に労働している人たちがいるからできるのだろうかとちょっと思った。ああいうのもすごく大変な作業を経ているのだろうかと。

 それから、やはり作者がうまいのか、4人のキャラクターがとてもよく描かれているし、その他の登場人物についてもものすごくわかりやすい描写で、誰が誰だかわからなくなるということはなかった。やはり面白い作品は登場人物がわかりやすいと思う。

 でも、やっぱりちょっとすごい話だった。今度はもう少しさわやかな話が夜みたいなという感じ。


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