感想メモ

2003年11月13日(木) 百年の恋  篠田節子


篠田節子 朝日新聞社 2000 作中育児日記・青山智樹

STORY:
信託銀行に勤めるエリートキャリアウーマン梨香子と年収200万円のしがないフリーライター真一がなぜか結婚することになり、不釣合いな二人の生活が始まったが・・・。

感想:
 かなり面白かったのだけど、最後の方からちょっと失速という感じかな。もともと育児日記をベースに書くつもりだったから仕方ないのかもしれない。育児日記は日記で面白いけれど、いきなり文章が出てきたときには正直流れがちょっと違う気もした。

 たまたま書店で本の帯を目にして面白そうだと思って借りることにしたこの本だけど、NHKの夜ドラの原作だったらしい。ドラマの方も見始めたのだけれど、ドラマと本ではかなり設定も違うみたいだし、イメージがちょっと違うなという感じ。

 本の方は真一の無口加減、不器用さが面白い。子供が生まれて少しは自分の意見も言えるようになるかと思ったら、そんなこともなかったのはちょっとびっくり。梨香子の方は、多分汚部屋の持ち主なんだろうなと、最初の段階で予測がついた。ただ、どっちかというと真一の視点で描かれていたから、私もどうしても真一に肩入れして読んでしまった。自分が女なのに。秋山の言葉ではっとした・・・。やっぱり共働きの場合は断然女の方がつらいんだろうなーって思ったし、女は感謝もされずにだんなや子供たちのための家事をやってきたんだなって。そう考えると確かにそうだなーって思った。そのあと結局梨香子が部屋をきれいにするようになれたのかは書かれていないから、ちょっと気になるといえば気になるんだけど。

 本の中の描写で気になったのは、真一が梨香子の子供を自分の子ではなく岡本の子では?と疑っているのだけれど、この二人にそういう関係があったんだろうか・・・ということだったりする。もちろん最初の段階でそういうことがあったけど、その後一気に結婚することになって、それから先のことは書いていないし、仕事が忙しそうでそういうことはしていないのかなーとか。真一が疑うということはそういうことなのかなと。まあ、すぐに妊娠してしまったからそこからないだけなんだろうけど。何だか二人の間の愛情みたいなものの表現が少なかったのがちょっと残念だった。そういうのがもう少しあると、どうしてくっついたとかわかるんだけど。

 でも、結婚ってタイミングというか。お互いにしたいと思っているときに出会ったらすぐに結婚に結びつくんだろうね。この場合の結婚はまさにそれに近かったような気もするし。(あ、真一の方は別に結婚したくはなかったのかな・・・)

 それにしてもタイトルからするとこういう話だとは思わなかったなあ。もっと二人の間に愛があって、身分(?)の差なんて関係ない!っていうような話かと思っていたので、ちょっと意外だった。でも、とっても面白かったのだけは確かだ。


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