2003年11月03日(月) |
青空のむこう アレックス・シアラー |
アレックス・シアラー 金原瑞人訳 求龍堂 (2001)2002
STORY: ハリーは気づいたら交通事故で死亡していた。事故に遭う前にお姉さんとけんかになって言ってはいけないことを言ってしまったことを後悔していたハリーは、死者が先に進むべき世界に行く前にお姉さんに自分の気持ちを伝えようと思うが・・・。
感想(ネタバレあり): この間の「13ヵ月と・・・」を書いた同じ作者の本。前に書店で見かけたときも読みたいと思っていたことを思い出して借りてみた。
この本、自殺したいとか、生きるのが疲れたとかいう人が読むとよい本なのでは?と思った。自分が死んでしまったあとのことを想像したことは多くの人にあるのではないかと思う。私も子供の頃などはそんなことを想像したりして、葬式はどうなるのかとか、死んだあとで後悔する人がいるのでは?とか思ったりもした。
ハリーも学校に戻ったときにそれを期待するが、自分がいなくなったからといって周りの子供たちの日常が変わるわけでもない。自分が忘れられていることに怒ってみたりするハリーだが、やがて気づく。いつまでも悲しんでいてもらっても自分がつらいっていうことに。
自分の墓で父と会い、家族が暗く沈んでいることを知ったハリーはショックを受け、自分の姿が相手に見えないとはわかっていても、家族を励まそうと精一杯の態度を取る。お姉さんとどうしても和解しなくてはとがんばるハリー。このあたりで涙が溢れ出しそうになった。が、電車の中で読んでいたので、さすがに泣くわけにもいかなかったけど・・・。
幽霊になってもやり残したことに縛られて同じところを延々と回っている人もいた。ギョッとしたのは映画館で寒く感じるのは幽霊がいっぱいいるからという文章・・・。実は私も映画館って寒いなと思ってたから。まあ、関係ないね。
とにかくいろんなことに縛られていてはダメで、そのことを消化して先に進んでいかなくてはならないということ、縛られている本人は自分が縛られていることには気づきにくいこと、どんな日常であっても死んでしまったらそのことができないのだから、生きているうちに楽しまなくてはならないこと、死んだとしても自分がいなくなったことに影響を受ける人間はそうは多くはないこと、また死ぬということは最愛の人たちを悲しませること・・・。
なんか色々なことを伝えているような気はした。泣きたい人にはお勧めの作品かも。
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