2002年04月08日(月) |
ハリー・ポッターと賢者の石 J・K・ローリング |
松岡祐子 訳 静山社 (1997)1999
STORY: 両親を交通事故で亡くし、おじ、おば、いとこの元で暮らすこととなったハリー・ポッターは、おじの家族から虐げられて暮らしていた。11歳の誕生日を控えたある日、ハリーの元に魔法学校からの入学許可書が届き、ハリーは魔法使いを養成するホグワーツという学校へ入学することになるが・・・。
感想:(ネタばれあり) まず最初に映画を見た。だから、印象は映画そのものといった感じで、その映画を補足してくれるような、さらにその時の世界が広がるような、そんな感じだった。映画は本当に原作にほぼ忠実に作られているのだけれど、映画のほうが感動を大きくしたり、面白くしたりするために少しだけ変えている場面もあった。
まず一番最初に動物園で蛇の水槽を見る場面。原作だと蛇のガラスが消えるだけだけれど、映画では、ダドリーが蛇の水槽の中に落ちてしまい、水浸しになってしまう。(その前に、本だとダドリーの友達も一緒に動物園に行っているけど、映画は確かハリーと家族だけだったと思う) そして、水浸しになったあと、水槽から出ようとするのだけれど、消えたはずのガラスが再び現れてダドリーは水槽に閉じ込められてしまう。実はこのあとどうやって水槽から出たんだろうなーとか、映画を見ていて思ったんだけど、この演出はかなり面白さを誇張していて、観客のつかみをよくしたんではないだろうか。その意味で成功ではないかと思った。
それから最後の方。ハリーが医務室のベッドで寝ているとハグリッドが両親の写真を集めてそれをアルバムにして持ってきてくれる。ところが映画では、この場面は最後のハリーがおじさんの家に帰省しようとしているまさにその時にハグリッドが渡してくれることになっている。これは感動を深めていて、このシーンをこっちに持ってきたのは映画の終わり方として非常にふさわしかったのではないかと思った。 この他にも何箇所か違っているところはあったが、説明していると大変なことになるのでやめておく。
実は映画の最後でハリーがおじさんの家に帰るってことにびっくりした。原作を読むと、ハグリッドが島の小屋からハリーをすぐに連れ出して、そのまますぐにホグワーツに向かったのではなく、そのあといったんおじさんの家に帰って新学期が始まるのを待っていたことがわかった。実は映画ではそこがはしょられていて、なんでハグリッドはハリーと一緒に学校に行ってあげないんだろう?って思っていたんだけど、まだ日にちがあったからだったのね。 それから、ハリーはその他のお休み(クリスマス休暇とか)では一度もおじさんの家には帰っていないのね。でも、夏休みは学年が変わるからか、やっぱり学校には残れないのかなあ。イギリスの事情に詳しくないからわからないのだけど。昔、氷室冴子の小説を読んで、寮のある学校に行きたいって思った中学時代を思い出してしまった。きっとこの本を読んで寮のある学校に行きたいと思った子供たちは全世界にいっぱいいるんじゃないかなー。でも、イギリスって結構寄宿制の学校ってありそうな気がするけど。
さて、この本は私の子供が成長していく物語が好きっていうのにも、ファンタジーが好きっていうのにも、わくわくする話が好きっていうのにもぴったりあてはまってしまい、本当にうれしい限りの本だった。
ハリーについて、思ったことは、結構ハリーって意地悪なんだなーってこと。でも、それが逆に子供らしいと思う。たとえば世界名作劇場なんかだと、主人公はどんなに家族や周りからいじめられたとしても、その家族のことを恨んだり、仕返ししてやろうだなんて思わないんじゃないかと思う。でも、ハリーはやられたら一応黙ってはいても、心の中ではそうは思ってはいないし、やられた相手が失敗したりひどい目にあえば、ざまあみろ・・・と思ったりする。それって本当に人間っぽいなと思った。でも、結構性格悪いってことでもあるかもしれないんだけど。
なんか映画では人の名前が難しすぎてよく覚えられなかったんだけど、本を読むとそういう単語のごろみたいなのもすごくよいなーと思った。グリンゴッツとか・・・なんか響きが好き。
この作品、全7巻なんだそう。今、日本ではまだ3冊しか出ていないし、映画も3部作だという話だったので、3冊で終わりなのかと思っていたのだけれど。図書館で借りたので、この本が届くまでも3ヶ月以上はかかったわけで、そう考えるとこれから予約すると2巻、3巻はいつになったら読めるかはわからない。でも、ちょっと楽しみに予約してみようかな。
ちなみに分厚いわりにはすんなりとすぐに読めてしまった。ただ持ち運びが重すぎてすごい大変。子供向けの本なのだから、せめてもう少し軽く作るとかしてはどうなんだろうか?と思ってしまった。 それから、ペーパーバックも機会があったら読んでみたいなー、と思った。
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