僕、子供のころ親と離れて暮らしていた時期があって、 そこを脱走するんですね。 そこは親と別れた子供が暮らしている施設なんですけど、 でもまあ、何回脱走したのかな? そんなに多くはないんですけど、六、七回やったかな。
─それは多いですよ(笑)。
でもねえ、二年三年いたわけじゃなくって、 六年くらいいたんですよ。だから年イチで、 「あ、また出たな」っていう感じだったと思うんですけど(笑) でもね、それで捕まるんですよね。 車盗んで逃げたこともあるんです(笑)。
─それは何歳のときなんですか?
小学校三年生ぐらいかな。 車は二回ぐらいやって、溝に落としたり、電柱にぶつけたりした(笑)。 車はやばいってことになって普通にバスで逃げるんですけど、 お金がなくなるんですよ。 で、その先にあったのが僕のなかで『鉄コン筋クリート』の 世界なんですよね。 もちろん連れて帰られるし、お金もなくなるんですけど、 大人からお金をカツアゲしようと思ってた。 そのときにすごい仲のいい友達がいて、 その子と一緒に「逃げ出して、海のそばで家を作る」 っていう約束をずっとしていたんですね。 でもそうはうまくいかないし、大人をカツアゲするなんで無理だし、 それで町をこうふらふらしていると、また 連れて帰られるっていうのをやっていました。 だからわりとそれが(鉄コン筋クリートの)ベースになっているのは すごくよく分かるんです。
─そういう個人的な体験がベースにあるとは とても分からないですね。
あまり言ってこなかったんですよね。
★松本大洋ロングインタビュー◇フリースタイル★
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