宿題

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2006年09月30日(土) 東京山谷 バックパッカーたちのTOKYO/72時間
■アマー(28歳 フランス)

(ナレーション)
なんとか5日遅れで宿泊料を支払ったアマー。
彼が来日するのはこれで4回目。
パリでお金を貯めては日本に来て、今回も1ヶ月滞在しているという。

「いつの日かフランスの新聞社でカメラマンとして
働きたいんだ。世界中で撮った写真を載せてもらう。
それがオレの夢さ」

(ナレーション)
明日、1ヶ月の滞在を終えて、関西国際空港から帰国するというアマー。
大阪までのチケットを買っていた。

─新幹線の切符?
「いや、バスなんだ」
─なぜバスなの?
「安いからさ」
─お金はあといくらあるの?
「日本円で…1000円だ」
─たったそれだけ?
「少ないけど、明日帰るから大丈夫さ」

(ナレーション)
東京での最後の一日。
カメラを向けたのは、上野公園のホームレスの人々だった。
アマーはパリの大学で書類作りのアルバイトをしながら、
写真の勉強を続けているそうだ。

「母はアフリカの象牙海岸で生まれた。
父もセネガルの出身だ。
フランスでは若者が政府を信じられなくなってる。
黒人や白人ってすぐに区別するけど、本当は人類は一つのはずなんだ。
肌の色は関係ないはずさ」

─なぜパリから出たいの?
「変わりたいんだよ」
─何を変えたいの?
「人生を変えたいんだ、…1ヶ月でもいいから」

(ナレーション)
夢と現実の間で揺れるアマー。
でも日本にこだわる理由はなんなんだろう?



(ナレーション)
帰国前の最後の夜。
カメラマン志望のアマーは渋谷に来ていた。

「友達になった日本人の写真を撮りたいんだ。
さよならも言いたいしね」

「そこに座って」
やってきたのはレコードショップの店先。
そこで働いている日本人と友達になったらしい。

─彼とはどういう風に知り合ったんですか?
「彼は店に来て、あの気に入ってくれたんですよね、
うちのセレクションが。彼すごいヒップホップが好きで」

─詳しいんですか?
「大好きですね。
フランス人なんですけど、フランスはあの、マイノリティなんで。
ピップホップは、黒人はマイノリティなんですよね。
サッカーは黒人多いじゃないですか、フランスカップとか。
でも音楽はやっぱり、フランスは保守的なんで、
ヒップホップなんて入ってこないんですよ」

─(アマーに)なぜ彼と友だちになったの?
「オレの好きな黒人ミュージシャンのJ・ディラを知っていたからさ」

「J・ディラっていう人が彼はすごく好きなんですよ。
デトロイトのヒップホップのミュージシャンなんですけど。
死んじゃったんですよ、最近。
(アマーに英語で)J・ディラは僕の人生を変えたよ」
「(レコードショップの人に向かって)オレは違うやり方でやる。
写真家になって人生を変えるんだ」
「写真家なの?」
「目指してるのさ」
「またね」
「サンキューバイバイ」



(ナレーション)
アマーが渋谷から戻ってきたのは深夜1時すぎ。
ずっと疑問に思っていた答えを教えてくれた。

「なんで日本を好きか知りたいかい?」
─知りたいよ。
「なぜって、日本の人々が…すばらしいからだよ」
─すばらしいって、君に?
「日本の人々は本当にすばらしいよ。すごく優しいんだ」


★東京山谷 バックパッカーたちのTOKYO/72時間★

マリ |MAIL






















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