■ラッセル(29歳 イギリス)
(ナレーション) 夕方の6時半。 昨日ホテルに戻らなかった、イギリス人のラッセルが帰ってきた。
「受付に寄らなきゃ、やあ(挨拶)。 昨日は飲みすぎちゃって、インターネットカフェで寝たんだ。 カギが無いよ。(リュックの中身を机にざざっと全部出す) コメディみたいだ。Mrビーンになった気分だよ。 受付に言わなくちゃ」
「カギ無くしちゃったんだ。 どこに落としたんだろう、どうしたらいい?」 「カギ代1000円かかるよ」 「分かった、払うよ」 「昨日の夜はなぜ帰らなかったんだ?」 「いつものように友達と飲んで、終電に間に合わなかったんだ」
(ナレーション) 日本に住んで3年。 ラッセルの生活は少し、荒れてきているらしい。
(部屋に入って座って話を聞く) 「24歳で日本に来たときは、ワールドカップもあって楽しかった。 イギリスに帰って、また戻ってきた。 最初は楽しければそれで良かったけど、 もう年だからそうも言ってられない…、 (話しながら、横目でレンズが片方しかついてない 自分のこわれた眼鏡を見る。急に日本語に) め、眼鏡、こわしちゃってるし(笑う) もうだめですよ、ホントにもう。 眼鏡、こわしたり、もうなんにも。最近はちょっとね、あー」
(ナレーション) 日本に来て、最初は写真やデザインの道を志したというラッセル。 でもなかなかうまくいかなくて、今は英語を教えて食べているらしい。
「(日本語)夢はいっぱいあるんですよ、若いほど、ね。 だんだんその夢が遠くなってきて、なんかちょっとまあいいやもう、 現実的に進んでいくしかないということ、なっちゃうんだけど、 でも夢は忘れちゃいけない、は、それは分かってる。 もうすぐ30になるんで、30になる前には、 もうちょっとしっかりした男になりたいんです」
★東京山谷 バックパッカーたちのTOKYO/72時間★
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