夢声 いまは、無宗教というわけではないんですね。
徳川 無宗教だけれども、無宗教を是としてるんじゃない。 宗教を求めようとしてるんだ。 ぼくはキリスト教の信者になっていたら、 全面的に聖書を信じるな。 神さまの旨を奉じて書かれた聖書がまちがいなら、 キリスト教は全部だめだものね。 だから、キリストがもう一度この世へきて、 世をさばくということも信じるね。 来世に復活があるかないかはわからんが、 それがないという根拠も、浅薄なもんです。 ぼくはこどもをもったことはないが、 こどもに死なれても、 いままでの愛情がプツンと切れてしまうんじゃなく、 自分の心はこどもといつまでもいっしょに生きるてるでしょう。 また、親が死んだとしても、 それっきりで別れるにはしのびない。 そういうしのびないという心から、 来世の復活ということも考えだされたのかも知れない。 どういう意味かわからん。 わからんのにわづかばかりの知恵で、 あの世はああだ、こうだ、 科学的にはあり得ないなんていうのは、 あさはかなこった。 湯川秀樹の理論を信じるよりも、 神さまの書かれた聖書を信じなければ、信者でない。 宗教はどんなものか、ちっともわからんけれども、 なにか永遠の生命というものがある。 ぼくはなんにも信仰しとらんが、いまだって、 そういうことを感じるんですがね。
夢声 永遠の生命、ありそうな気がしますか。
正宗 ありそうな気がするというより、 ありそうな気がしなくちゃらなんものだと思うね。
★問答有用/正宗白鳥×徳川夢声★
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