宮台 中島さんの本って難しいですよね。
中島 なんで難しい。やさしいですよ。反発を感じますか。
宮台 少し感じますね。 例えば塾生の方で「別にそれでいいじゃないか」 という中島さんの物言いの意図を疑う人はいませんか。
中島 いますよ。ありとあらゆることが起きていますから。
宮台 そういうことを通じて復讐というか、 中島ゲームのコマの一つにされているんじゃないかという 疑いを持つ人とか出てきませんか。
中島 たくさんいますよ。
宮台 そうだよね、当然。
中島 最近の症状では二十代の男性ですが、 どうしても中島義道だけには勝ちたいという思いで来ている。 非常に秀才なんですが、勝つためにどうすればいいかと考えて、 精神病院に入院してしまった。 そこでも薬をいっぱい飲んで暴れたりして、 とうとうそこも追い出されてしまったんです。
宮台 うーん……。
中島 中島さんは精神病院に入れないでしょう、 僕は中島さんより病気でしょう、という勝ち方。
宮台 中島さんの本って結局身も蓋もないから、難しいんです。
中島 それは正しい(笑)。
宮台 人間は孤独だ、しかたないじゃないか。 すべてか偶然のなせる業、難しいことを考えてもしかたないんだよ というふうにね。
中島 僕がしゃべったことはあたりまえのことなんです。 でも、みんなさっきの納得ゲームをしたいでしょう。
宮台 うん。
中島 少しはね。だから僕からすると、 哲学をするためにちょっとでもヒーリングしちゃいけないんです。 完全にとどまっているということが、哲学的ヒーリングなんです。 でもこれは強くなくちゃだめですね。
宮台 という中島さんの立ち方が復讐のように聞こえるのは…。
中島 正しい、正しい。 こんなこと言うと殴られるかもしれないけど。
宮台 (笑)。
★哲学と癒し/中島義道×宮台真司★
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