宿題

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2006年07月19日(水) 白鳥の精神/小林秀雄×河上徹太郎
小林
でもぼくはあれだな、
批評なんか書いてるせいもあるけれども、
正宗さんというのは、
書いてるものを重んじないだろう、ちっとも。
書いてるものを重んじる人はぼくは面倒くさいのだな。
だから正宗さんみたいに全然重んじない人にはね、
まだもう一つ先があるのだ。
文学よりもう一つ先のものがある。
それがいつも頭にあってね。
文学なんてものは手前のものでね、
別にどうということもないという考えが
いつもあるだろう。

ああいう精神というのは私には
魅力があるのだな。
そこが非常にサバサバしているのだ。
サバサバして純粋だね。
文学を信じている人にも、
いろいろ面白いところがあるけれどもね。
だけれども面倒臭いこともあるよね。

河上
それはお互いさまだよ、君にもある。

小林
なかなかそういう精神というのは
やっぱりあるようでないな。

河上
うん。

小林
文学を軽んずる人はたくさんある。
あるけれども、その代わり何も重んじてないよ。
いくら文学というものに夢中になっても、
結局はあまり面白いものではないという、
そういう精神ね。
そういう精神はやっぱり稀だな。
まあそこまでいかないと、精神というものは
さっぱりしないからな。


★白鳥の精神/小林秀雄×河上徹太郎★

マリ |MAIL






















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