(亀田一家とは)非日常のファミリー。よくあの親子愛、兄弟愛が、 昔の日本を思い出させるようなことも言われるけど、それは違う。 昔も今も、あんな家族はいない。 僕らが若いころだって、予備校に通っていれば、ギターだって弾いた。 日本中がスポ根だった時代なんてない。 『男はつらいよ』の寅さん一家だって、人気はあるけど、 実際にあんな家庭はないでしょ? それにあんな家庭にしたいとも思わないでしょ? 高層マンションで快適に生活しているなら、 週に1度だけ柴又をのぞけば十分。 ディズニーランドも同じ。 毎日ミッキーに会っていたら飽きてしまう。 それと同じで、亀田家も時々のぞき見るから魅力を感じる。 あの言動は教育上良くないなんて言う人もいるけど、 あれだけ同じ目標に向かっている親子はいない。 非日常の家庭だからこそ、見習うところも多い。
ボクシングには昔から暗闇の部分がある。 地元有利な判定などを含めてボクシングだと思う。 小学4年から後楽園ホールで観戦して、 テレビでも海外の試合も見てきたけど、 これは今に始まったものではない。 だから昔は周囲に隠して、 ボクシングを続けた人もいたと聞いたことがある。 今の日本は暗闇の部分がなくなり、 サッカーのように健康的なものが好まれている。 亀田選手以降にファンになった人は、 サッカーと同じ感覚でとらえているのでは。 でも、亀田選手には黒人のボディーガード2人が常に付き添っているように、 本来はそういう競技。 危険なにおいがある世界だからこそ魅力を感じる。
亀田選手には何の罪もない。 選手が『自分が勝つ』と信じてリングで戦うのは当たり前。 それよりも解明すべきは、あの3人のジャッジの思惑。 手数はランダエタの方が上回っていたけど、 パンチの力は亀田選手の方が上だった。 各ジャッジが何を基準に採点していたかが明かされていないのに、 亀田選手が責められるのはおかしい。 悪いとしたら周りの大人たち。 80年代のボクシング人気衰退も、これの繰り返しが原因だった。
今回のバッシングで一家が得たものは多かった。 それは世間を見返してやろうという『何くそ』というパワー。 ロックンローラーだっていい家に住んで、いい車に乗って、 有名になれば、成り上がろうという気持ちがなくなって 普通の人になってしまう。 亀田が亀田であり続けることができるエネルギーをもらえたことは、 結果的に非常に良かった。
★亀田一家は非日常的家族/テリー伊藤★
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