山下「(マイルス・デイヴィスの「Kind of Blue」は) あれ退屈なんだよな(笑)。 あれ途中で半音上げてるけど、連中だってやったはいいけど 「こりゃ退屈だ」ってわかってさ、 「おっと、しまった!じゃあ、半音上げよう」って、やってるんだよ(笑)。 あれがなぜフリージャズに繋がるのかっていう疑問を、 菊地理論は上手に説明するんだよね。おれの理解、つまり誤解だけど(笑)。 退屈だから、なんかしなきゃならない。 でもコードチェンジによる劇的な緊張と緩和の効果は狙えない。 その効果をリズムに託す。いろいろなリズムがボンボンぶち込まれていく。 その点でまずリズムがフリーになっていく。同時にセンタートーンは一つでも、 その上でいろんなモードをやってしまったり、 あるいはそのセンタートーンを変えてもよくなったり、 ということがいろいろ工夫されたお陰で、 リズムもメロディもなにをやってもよいという境地に達するんだと。 その道を生きた実例がコルトレーンだ、という風に解釈したんだけどね」
★花火を上げろ!菊地成孔のできるまで/山下洋輔×菊地成孔★
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