山下「八四年が入学で、初めて仕事したのはいつになるのかな?」
菊地「プロとしてデビューはもうしてたんです。 横須賀のベースで、フィフス・ディメンションのライブがあって。 「アクエリアス」でグラミー賞を獲った彼等が落ちぶれて、 世界中の米軍基地をまわってたんですよ(笑)。 フィリピンから横須賀に来るときに、テナー・サックス・プレイヤーが コカイン所持かなんかで捕まって(笑)、 安く使えるテナー・サックスを探して学校に求人が来た。 それで、「お前行ってこい」と」
山下「やはり、代役でプロのステージを初めて踏んだわけだ。 それは大事なことでさ。すべての音楽、芸能の歴史はね、 誰かが死んだり捕まったりしたお陰なんだよ(笑)。 おれだってそうだよ。ギル・エバンスが亡くなって 「スイート・ベイジル」の月曜が空いて、そこに呼ばれたのが、 今につながるニューヨーク・トリオ発足の手がかりだったんだからね」
★花火を上げろ!菊地成孔のできるまで/山下洋輔×菊地成孔★
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