宿題

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2006年02月10日(金) 徳川夢声の問答有用/桜川忠七
━関西と関東の風習のちがいなんだけれども、浜松からこっちは、
だいたいまわしをとる。
自分のとこにいた女が「ちょっといってきますよ」ってんで、
べつの部屋へ行くわけですな。
お酉さまの晩なんざあ、達者なおいらんは十一人くらいまわしちゃう。
江戸の客は、まわしをとられるってことに、多少のジンケス(やきもち)はあるが、
それがまたおもしろかった。
大阪ふうにひと晩じゅう買いっきりなら、だいじにされるにきまってる。
まわしをとりながらほれられてこそ、ほんとうの腕があるんだというところですね。

先生のお説のとおりです。
と、いいますと、関西のかたには申しわけないんですけども、
あちらのほうは、自分で買った女だから、ずうっとそばにいろってえんですね。
こっちじゃあ、「買ったんだから、おれのもんだ」とはいわないで、
帰ってくるのをたのしみに待ってる。
「一夜遊びの味はこれだよ」ってんでもって、イキがってるんです(笑)。

━「おまえ、いっといでよ」といって、色男がってるのもオツですよ(笑)。

新内流しをききながら、廊下の物音に耳を立ててる。
あれもいい気分でござんすな。
バタン、バタン、ぞうりの音がきこえて、おいらんが帰ってくる。
寝たふりをしたりして……(笑)。
マブ(情人)になってくると、おいらんがぞうりを手にもってはいってきて、
ふとんの下にかくす。

━ぞうりをかくされるようになったら、しめたもんですね(笑)。
まわしの客がおおぜいいるなかで、自分だけもてようってんだから、
たいへんなスポーツですよ。


★徳川夢声の問答有用/桜川忠七★

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