(電話してるスミちゃん) 電話相手の声だけが聞こえている。
「もしもし?もしもし?なんですかもう、いい加減にして下さいよー、もしもし? ちょっと黙ってないでなんか言ったらどうなんですか? もしもし?もしもし?」
(後ろから近づく教授)
「スーミちゃん」
(電話を切るスミちゃん。逃げ出そうとするが、教授が手をつかむ)
(二人で椅子に座っている)
「そっか、無言電話かけてたのか。 ハハハ、間が悪い時に声かけちゃったわね」
(教授、一呼吸して)
「あなたのこの間の論文、とっても良かったわよ。 自分なりの視点でとことん問題を解決しようとする姿勢は、とってもよろしい」
「先生…私、答え出そうにありません。 …妻子ある人なんです。どうやっても答えが出ないんです」
「無言電話かけて気は晴れた?」
(首振るスミちゃん)
「嫉妬するのは恥じゃないわよ」
「でも…ものすごくどす黒いものがここんとこに(胸に手)」
「そういうものは誰でも持ってるの。 恥なのは、そのどうしようもない気持ちを人にぶつけてしまうこと。 ちがう? …そういう時は、じっと我慢するしかないの。 どんな嵐だってきっと過ぎ去る。絶対大丈夫だから。 どんなに自分の中が荒れ狂ってても、いつか元の自分がやってくる。 それを信じてじっと我慢するしかないの」
(教授がスミちゃんの頭をぐりぐり撫でる)
★すいか 第六話(未公開場面)/木皿泉★
■DVDのおまけ映像から。 「スミちゃんは実は不倫をしていました。 しかしキャラクターがぶれる事と、 「すいか」全体のトーンが崩れると判断して、カットしました」 という説明が最初に。
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