リーガル千太・万吉は、もと落語家で、金語楼門下。 万吉さんは小団冶といったから、柳派で三代目小さんの弟子かもしれない。 万吉さんの方が年上で、温厚な人柄で、 その万吉さんを千太さんが、「俺がいるからもってるんだよ、この漫才は」 と言ったとき、ドキッとしたね。 冗談いっちゃいけねぇ、万吉つぁんの力を何だと思ってるんだ、 ということが一つと、千太・万吉というコンビは温厚紳士ということで通っていただけに、 あの千太さんでもこんなこというのかなって驚いた。 これは千太さんの、芸への自信と気迫だったのだろうが…。
その楽屋態度を見事に真似てるのが、てんや・わんやみたいに思える。 どこへ行っても如才なくて…。 それでも、このあいだもNHKの『この人』なんてテレビを見ていると、 まったくてんやが仕切ってて、わんさんが、後へついているという感じだった… つまり差をみとめているから保っているんだ。
バランスをギリギリのところで保っているのが、千夜・一夜。 もしパーセンテージで判断すると、下手ぁすると八〇%ぐらいがほら吹き一夜で、 あとは千ちゃんがついてきているという感じになりそうだったのを、 見事に千ちゃんのよさというのを一ちゃんがわかるようになって、 バランスを元へ戻してる。
その戻しが戻しきれなくなって、ノリロー・トリローは別れちゃった。 もったいないと思う。 漫才って別れちゃいけない。別れてよかったという例がない。
★談志楽屋噺/立川談志★
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