宿題

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2005年04月25日(月) 子供のまなざし/ラルティーグ
パパは神様だ(神様がパパに化けているのかもしれない。)
「おまえに本物の写真機をあげよう」だなんて!



これからは何もかも写真に撮って残せる。もうパリに帰ってもさみしくない。
田舎の風景をみんな持ち帰ることができるんだもの。
前だったら「これと、これと、これを撮って」と、パパに頼んでも、「もちろん、もちろん」
といわれるだけでちっとも撮ってもらえなかった。でも、もうこれからは自分で撮れる。



僕は赤ん坊も好きだし、年上の子も好き。
きらいなのは同い年の馬鹿な子たち。



去年は、レンズの蓋を開けた途端、写真機の前に走って行って、
自分の姿を透明ながら撮影することができた。
今日思いついたのは、同じ要領で、もしや夕食のとき話に聞いた、
透き通った幽霊の写真を撮れはしないかということだ。
それでジズーにシーツをかぶってもらうことにした。
レンズの前に立ってもらって、蓋を開ける。また閉める。
ジズーがどいたら、また蓋を開ける。
うまく幽霊の写真が撮れていますように。



パパのお気に入りの秘書プリットが、沼の泥土の中を竹馬で歩けるか試しに行こうとしている。



成長する自分に、ときどきひどく悲しくなる。
こんなに幸せで、若く、何の不安も抱かずに暮らせるのに、なぜこのままでいられないんだろう。
もっと若くたっていいとさえ思う。
ママンが「あなたはいつまでも私の赤ちゃんよ」というときの優しいまなざしをどう説明したらいいだろう。
永遠にそういってもらえたらどんなに素敵だろう。
幼い頃を思い出す。
夜眠ると、自分を守ってくれる幸せが逃げてしまいそうで怖かった。
手を握って、ママンが歌を歌ってくれているあいだも、
僕は喜んでいたのではなく、じつは声を殺して泣いていた。



もしかすると近いかもしれない、と言っていたことが確実になった。
ついに宣戦が布告されたのだ!
もし徴兵猶予になっていなかったら、9月4日には徴兵通知を受け取り
ママンとパパとジズーとおばあちゃんを残して戦場に向かうことになっていたなんて、
どんなにつらいだろう。
パパはちょうど徴兵免除の年齢になった。ジズーも免除されている。
いまのところ僕たちはまだ4人一緒に暮らしていける。
そのことをもっと喜ばなくてはいけないのに…説明し難い。
僕にとってパパは、生まれたときから僕を守ってくれる何よりも偉大な力だった。
野原も森も障害も僕を抱いて通り抜け、僕はただ笑って身を任せてさえいればよかった。
なのに、頼りにしていたその人が今日力を失うのを見たのだ。
高く抱きかかえられていただけに、ひどく目まいがする。
…パパに怖いものがあるなんて、想像したこともなかった。
パパは戦争に脅えている。



日当たりのよい広場でママンが僕に話しかける。僕は黙っている。
オレオについて今日みんなが話すことは、なんの意味も持たないと思うから。
僕は信じない。明日になったら信じるだろうか。とにかく今日は信じない。
もし死んでいるならば、彼は僕のそばにいるはずだし、もし生きているなら、
もう悲しむ必要はない。


★子供のまなざし/ラルティーグ★

マリ |MAIL






















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