とりわけ、シーボーズは特撮の方で、人間の駄々っ子のようなふりをつけてしまったから、 怪獣というよりお茶目な愛玩動物という采配になってしまい、 私の意図は消し飛んで暗い気持ちになった記憶すらある。ところが、 たらたら特撮班に文句を言ったものの、放映されるとそのメルヘンチックなところが好評で、 私は目を白黒させたものだ。 「あの夕焼けの中を、故郷へシーボーズを帰そうと、ウルトラマンが連れていくシーンはよかったなあ」 などと、考えもしないところを褒められてくすぐったくなった。 怪獣ものの場合、そんな思いも掛けないことを言われること、数多い。
★星の林に月の船/実相寺昭雄★
|