分からないが、とにかく選択だった。選択してしまった。どうしようもなかった。
日頃から人生は選択の連続にみえる。だけど本当には選択できる機会なんて、
ごくわずかなのだ。大抵は、否応なく選ばされる。
そのことだけはさすがに三十年近く生きてきて、もう知っている。
膝についた小さな砂利をはらい、立ち上がった。
(おまえが俺を許すのではない、俺がおまえを許すのだ)。
もう一度、心にすりこむように思う。
帰りはなぜかミロよりも勇ましい気持ちになって、早足で大股になった。
大槻ケンヂが「戦え!何を!?人生を!」と百回くらい叫び続ける歌を
心の中で思い返しながら歩く。たしかあの歌は「才能の枯れた奴がいた」ではじまる。
才能のないかもしれない奴はどうしたらいい?
★ジャージの二人/長嶋有★
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