宿題

目次(最近)目次(一覧)pastnext

2004年12月16日(木) 私の猫たち許してほしい/佐野洋子
六歳のあるいは十歳の兄が、私の中に居るので、私は只の人としての自覚を、

こと絵を描く時に強く持った。

青春期に絵を描く学校に居て、友人の何人かは、明らかに自分の天分を信じていた。

私は多分、そのような錯覚なり、自身なりを一度として持ったことがなかった。

只の人として、絵を描き続けることで、ほとんどの人が、只の人だということがわかった。

そして、只の人も、それぞれかけがえのない自分であることを学んだ。

只の人がますます只の自分であることに、かぎりなく近づいてゆくということは、

面白いことだった。


★私の猫たち許してほしい/佐野洋子★

マリ |MAIL






















My追加