中原中也に関する部分の抜書き。
「男同士の友情というものには、特に芸術家の場合は辛いものがあるように思 う。中原中也の恋人を奪ったのも、ほんとうは小林さんが彼を愛していたから で、お佐規さんは偶然そこに居合わせたに過ぎまい」
「中原は退屈すると人が食ひたくなる鬼だ。うまいまづいの見境ひがあらうか。 俺の所に来て巣を張つてゐるくもだ(青山)」
「友達といふものは詰まらない擦れ違つただけの人かも知れない。中原はこれ を雑音だと言ふ。中原にしてみれば中原の言う通り友達は紙屑籠だらう(青山)」
「僕が中原につき合ってゐると小林は笑ふ。竹田が中原とつき合ってゐると俺 が笑ふ。小沢が中原とつき合ってゐると竹田が笑ふ。中原が玉突きをすると小 沢が笑ふ。中原は恁ういふ男だ。併し、中原は中原でいゝ、他人が口を出す手 はない、捲込まれる奴が笑はれるだけだ(青山)」
★なぜいま青山二郎なのか/白洲正子★
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