―2年前、高校生の時に学校行事で会ったときには30代前半だと思ってたんですが… 「そういうこと、よく言われてました、以前は。
最大の勘違いは40代になったころ、編集者に「学生かと思いました」と(笑)。
そのとき緑色のダッフルコートを着てたんだけど」
―「先生にとってこの学科とは?」
「それは悩む質問…。
一つ思うのは、辻原先生と私で二人でゼロに近いところからつくって来たでしょ。
役所向けの細々とした書類を整えたり。こう見えても、そういうのは割と得意。
協力してくれた先生たちにもびっくりされて、「デスクワークが出来る人たちとは思わなかった」と(笑)」
―確かに。
「失礼だな(笑)。だからなんだか、この学科は自分が産んだもののように思えて。
男子学生を見ても息子だとはあんまり思わないけど、女子学生を見ると娘のような気がする。
「娘に嫌われている親父」のような(笑)」
―大学生活は慣れましたか?
「それは私が学生にする質問でしょう、普通(笑)。物事に慣れないんだ、何事にも。
慣れないから、毎日毎日新鮮です。胃は痛くならない、時々頭は痛いけど(笑)」
―大学で教職に就いて、作家業への影響はありますか?
「時間と集中力の面で、影響がある。
時間はともかく、書いている途中、授業や授業準備を間に挟むと、集中力が削がれてしまう。
それは悪いほうの影響だけれど、それに勝るプラスの面があると思って。
学校での経験はどう考えても小説を書く足しになるだろう、という気がする。
何が何の役に立つのかというのはまだわからないし、みんなの話をネタにするなんて、
全然そういうことはないけれど。大学の先生の出てくる小説はまずつまらないんだ。
大学の学生が出てくる小説もそんなに面白くない。
特に大学の先生が書く小説はすごくつまらないことが多い…危険な状況です(笑)」
★講師陣インタビュー/伊井直行★
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