まず入口からしてただごとではない。
六甲山の中腹を開いて家が立っているのだが、そこに通ずる道はなく、
専用のケーブルカーに乗らなければならない。
世俗の常識から切れた別天地を構えようという光端の心意気のよく発露したアプローチといっていい。
来訪者はケーブルカーを降りるとこの世とは思えない光景に迎えられることになる。
目の前にはお花畑が広がり、池には蓮が咲き、
その向こうには鮮やかに色どられたインド風の建物が六甲の山脈を背にスックと立つ。
そして、一歩足を入れると、これはもうインドのマハラジャの宮殿や
アラビアンナイトと見まごうようなインテリア。
建て主の光端は、この館に、信徒の中からよりすぐった見めうるわしき少年たちを集め、
一緒に暮し、雄飛にそなえた。
★伊東忠太動物園/藤森照信★
■伊東忠太が西本願寺の法主である大谷光端に依頼されてデザインした 「二楽荘」についての説明。 完成は明治43年。写真にはすごい広いテニスコートも。
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