加藤芳郎「(横山隆一さんの家に)魚の絵があったでしょう」
長谷川「三百何十枚か出来ていましたよ。感心して眺めていましたら
『これは展覧会で売るんです』っておっしゃるの。
『それじゃ、私もいただきます』って言ったら、すぐペンを持っていらっしゃって、
『早くうしろにマルを付けなさい。いくつでもいいんですよ』(笑)」
加藤「魚のヒラキ売るみたいね」
加藤「そこがまた大事なとこかもわからないけれども、普通、
壷を作る人は六百個焼いたら、四百はたたき割って、あとの二百個を売るんだ。
『横山さんは全部売るんだろう』って言ったら、「女房もそう言うんだ」(笑)。
いいのがあるんですよ、でも、全部買うわけにはいかないな。
中には目が赤いやつがいますからね。
あれを二百枚くらい描いたときに、ゴルフ場で洋画家の脇田和さんに会ったらしい。
『脇田さん、僕今、魚の油絵を描いてます。二百枚描きました、って言ったら、
中にはいい絵があるでしょうねって言いやがった、おとなしい人なのに』
って言ってました。まだ反省してないな(笑)」
★思い出記念館/長谷川町子★
■長谷川町子さんというよりは脇田和さんメモ。
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