ところが世の中には成行き、または行きがかりとでも言う他ないようなものが
ゴロゴロしていて出会い頭の事故をもたらす。
或る日ぼくは、繰返すけれど主観的には全く突然に、
極端に旅行がちの友達の猫をちょっとばかし預る羽目に陥ったのだった。
それから実を言うともう五年たつわけだ。
そして結論を言うと、その問題の居候は何故かいまだにわが家に住みついていて、
たいていぼくの周囲一メートル位のところで眠っている。
そうして、これまた何故か、その猫本来の飼主までうちに住みついている。
彼女は(その本来の飼主は女性だったわけだ)、
預けた猫が心配でしょっ中様子を見にきていたのだが、
いちいち通うのが面倒くさくなったのか、いつの間にか「住みこみ」にあってしまったのだ
(そして猫だけでなく、ぼくの面倒まで見ているつもりらしい)。
★ぼくが猫語を話せるわけ/庄司薫★
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