一人称と三人称だと、一人称の方が大きい。
カーテンを見ても、三人称だと「○○がカーテンを見た」と書くけど、
一人称だと、わざわざ「僕はカーテンを見ている」とは書かないこともある。
その分、広がりがある。
(電車で「今面白いと思って読んでるのがこれ」といって女子高校生が
保坂さんの「プレーンソング」を出してたのを見た、しかもハードカバーの方、と言われて)
しかもそれがちゃんと金髪だったって言うんだよな。
「かわいそう」とか「なんとかしてやりたい」と思うのが、人間の一番太い回路。
植物の描写の場面は、本当に家にあったものをそのまま書いた。
『カンバセイション・ピース』に出てくる「お風呂場で影を見た」というの以外のそういう話(3つ)は自分の体験談。
(「保坂和志の小説」は「世界と自分との区別を瞬時につける」という印象があったけど、
今回は「家」も主人公のようなところがあって、「家」は世界なのか自分なのか、という質問に)
それは、かなり痛い質問。(ちょっと答えかけて)でもこれは自分でもなんか違う気がするなぁ。
そういう質問をする時は前もって言っといてくれよ。
主人公はかなりおかしいとこがあるんだけど、ほとんどは僕とイコール。
100%ではないけど。
小学校の同級生で、僕の本をよく読んでくれてる人がいて、
でもその人は僕があの時の保坂和志だ、っていう確信がもてなくて。
で(保坂さんのイベントに)来てくれたことがあったんだけど、実際に目の前で僕が話しても、
どうも決め手がなかったらしくて。
それが「僕がこういう風に(落ち着きない感じで、手や足をぷらぷらする)
動き出したとたんに「あ、保坂くんだ!」ってわかったんだって。
(いいなぁと思ったところがあって、それは「抽象に奉仕する」というところ。
僕はポルノ映画館で働いてるんですけど、そこにわざわざ来て寝ている人がいる。
他にも映画館はいっぱいあるのになんでここを選んだんですか?って聞いてみたら、
「ポルノのそばで寝たいんだ」って答えだったんですけど、これも「抽象への奉仕」ですか?という質問に)
はい。そうでしょう。
(トンビおじさんがどうしても腑に落ちなかったのですが、という客側からの質問に)
「トンビおじさん」に関しては僕より詳しい人が今日来てます。
高瀬がぶんです。
彼は3分の1くらい「マツイ」のモデルになってる人。
ちなみに今日は蛯乃木のモデルになってる多田君も来てます。
彼は90%くらい蛯乃木のモデルになってる。
(何が小説か、という質問に)それがわかったらもっと売れると思う。
今回も庭の植物の描写の場面が書けた時に、これは小説になる、って確信したけど、
どうなったら小説なのか、っていうのは言えない。
★『カンバセイション・ピース』トークショウ+サイン会/保坂和志×石川忠司★
■青山ブックセンター
高瀬さんのお話によると「トンビおじさん」は平塚の海にいたとか。 それでその娘さんは看護婦をしてるらしいです。
利き手って結構あやふやな感じなのに、緊張してたりするとやっぱり とっさに出るのは左手みたいで、保坂さんに握手してもらった時も 意識せずに左手を出してしまいました。 他の人のサイン会の時ももしかしたら左手を出してるのかもしれないのですが、 してもらった相手に注意(指摘)されたのは2回目。 「左手でいいの?」「握手って右手でするものだろ」
|