スペイン人と日本人の違いはなんだと思う?
それはスペイン人は明日も生きているとは思っていないところだよ。
「アスタ・マニャーナ」といえば、日本人はなまけもののスペイン人のよく使う言葉だと思っているだろう。とんでもない。
例えば日本人が銀行に行って換金を頼んでも「アスタ・マニャーナ」。
“今日は終わり、また明日おいで”と言われる。 なんてなまけものだと日本人は思うが、実はこの後に「シ・ディオス・キエレ」と続く。
「アスタ・マニャーナ、シ・ディオス・キエレ」。
これは「もしも神様の思し召しで明日も私とあなたが生きていたらお目にかかりましょう」という意味。
スペイン人はベッドに寝ても、明日の朝、目が覚めるとは思っていない。
ここに、昨日も明日もなく、今日しかないんだという考えがある。
◇
僕はまったく兵隊になるのがいやだった。
だけどしかたがない。昭和20年5月に久留米の野砲隊に入隊した。
で何をやらされたかといえば、来る日も来る日も野原に穴を掘らされた。
毎日ツルハシで穴を掘り、気を失うと水をぶっかけられ、ぐずぐずしていると木刀でぶん殴られた。
そういった意味で、僕はまったくの劣等兵だった。
もともと兵隊がきらいだから精神的にも肉体的にも兵隊になろうという気がない。
戦争について考える気力もないので、劣等兵なら劣等兵になりきろうと考えた。
◇
ようするに、僕にとっては、俳優になるというのは乞食になるのと同じ意味だったんだ。
生きることを捨てるというかね。
かといって、それを怖いとも寂しいとも思わなかった。
★「Mammo.tv」2001.05.28号/天本英世★
■たまに書かれてる「自宅がない」というのは冗談みたいで、ここでも書いた中洲通信のインタビューでも
―自宅がないという話を聞いたことがあるんですが。
それは冗談(笑)。 「人に最近どこにいるんですか」って聞かれると「今代々木公園で寝てんだよ」 とか答えてるから。 ンなわけないじゃない。 でも信じてるやつもいるんだろうな。
という箇所が。
|