ときおり声を合わせて反戦を唱えながら、行進はとてもゆるやかに進んで行きます。
乳母車を押している人もいれば、犬を連れている人もいます。
大声でブッシュを批判している人もいれば、反戦のバッジを売っている親子もいます。
緊迫感はどこにも感じられません。 警官たちもたいていはにこやかです。( こぜりあいで逮捕された人もいたそうですが。)
あまりにも冷えたので、ぼくとユミは途中でマクドナルドに入り、コーヒーであったまりました。トイレは長蛇の列。 全体に白人が多く、黒人とアジア人がその次ぐらいです。 新聞は60年代と比較したがりますが、ぼくにはそれがどんな意味があるのかと不思議です。
こういうことは懐かしがるようなことではないからです。できればこんなことはない方がいいのですから。
ユミはヒスパニック系の人がほとんどいないのはどうしてかとしきりにぼくに聞きます。
ぼくには答えられません。 約二時間後、ぼくたちは五十九丁目で行進を離れ、セントラルパークをななめに横切って家へ帰りました。
帽子に反戦のバッジをつけて、家を出てから帰るまでが行進だね、とはしゃぐユミと一緒に。
★デモ行進(2月15日)/友部正人★
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