「それにしては、本の値段だけは、正確についている」と呟いた。
「あ、それは、専門家の方に、つけて頂いたからなんです」
「なるほど……?」
……これまたよくある手であった。
自分たちの欲しい本、売れ足の早い本には安い値をつけて、
売れそうもない本は、正確に値踏みしておく。そして開店の日。
――御祝儀がわりに。
と云って、欲しい本をゴッソリ買ってやるわけだ。
相手は素人である。だから感謝して申し訳ないと思う。
同じ”せどり”の中でも、もっとも悪質な行為であった。
★せどり男爵数奇譚/梶山季之★
■恵文社の推薦文が素敵すぎて、 読みたくなりすぎてたのもあるかもですが、 思ってた話とはちょっと違って。
捜してた本を見つけた喜びを表す言葉が 「失禁した」ばっかりなのとかどうなんだろう?というか やだ、と思いました。
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