友人の家におめでたがあって、その披露宴に招待された。
出たくもあり、また出なければ済まぬとも思う。
しかし、午餐なので、私はその席に間に合う様に支度する事は困難である。
困難と云うよりは全然見込みはない。
なぜと云うに、皆さんが目出度く集まって来るその時刻には、年来の習慣で私はまだ寝ている。
時には起きるのが遅くなる日もあると云うのだったら、そう云う特別の場合は奮発してもいいが、
そうでなく堂々と平安に寝ているので、決して惰眠をむさぼっているのではなく、
つい寝過ごしているわけでもない。
だからそれを無理に起きたり、起されたりすれば、気分が悪くなり、
面白くなくなり、お目出度い席へ出て、お目出度い顔なぞしていられない。
★波のうねうね/内田百間★
■ずっと行きたかった「十二月文庫」で買いました。 『おからでシャムパン』という章から。
|