宿題

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2002年11月19日(火) 21世紀は悪趣味の美学から開始されるだろう/四方田犬彦
世界で第7番目の美術品所蔵数誇るブルックリン美術館で目下開かれている、

『センセーション』という現代美術館での出来事である。

だがこれなどはまだ序の口だった。


☆☆☆


スゴイなあとぼくは唖然としていた。

素晴らしいでも、けしからんでもない。文字通り唖然としてしまったのである。

ついにアートはここまでやるようになったのか。

壁に掲げられた解説を読むと、ここに集められた何十もの作品は、

イギリスの広告業界の重鎮であるさる人物の個人コレクションであるという。

ということは、これを自分の家に飾ってる人間がいるということだ。


美術館の展示室を出てギフトショップに入ると、

先ほどの不気味な作品のポスターや絵葉書といっしょに根本敬の漫画の翻訳が売られていた。


ぼくは長い間、荒川修作に代表される貧血じみたコンセプチュアルアートというやつが、大嫌いだった。

広い空間に木材を並べただけとか、コールタールの池を作っただけという、

単なる思い付きの作品にも、心を動かされることがなかった。

終末論だとか自己言及性だとか、様々理由をつけてそれらを弁護する美術評論家を眺めていて、

この分野の人たちは楽で呑気でいいなあくらいにしか思っていなかった。

『センセーション』はこうした従来の観念的な評論の言葉とはまったく無関係なところから発想されている。

20世紀の後半にはもはや美学的スキャンダルなど起こりえないんだよという、

超現実主義者ブルトンの晩年のシニズムにむかって、

なんとかもう一度ユーモラスな意義申し立てを行おうと企てている。


もっとも会場に漂うあの臭いだけはまいった。

警備員にはごくろう様としか、いいようがない。


★21世紀は悪趣味の美学から開始されるだろう/四方田犬彦★



■ ☆☆☆ の部分にはかなりおぞましい感じの作品の説明が
ずらっと書かれてました。

というかなんていうか、根本敬さんてすごいなぁと改めて。

マリ |MAIL






















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